幼年期小説「また一緒に…」4

登場人物

シママ

幼い男の子

妹のポニニとよく遊ぶ

スポーツが得意





ポニニ

幼い女の子

兄のシママの事が大好き

頭脳派





ルリリ

幼い女の子

引っ越してきたばかり

とにかく可愛い(シママ談)





担任

シママとルリリの担任

ぼけーっとしている。



第四章

「「おはよう!!」」

「あ、シママ君。おはよう。」

ルリリちゃんもおはよう。」

「うん。あーだんだんわくわくしてきたァ…!」

「シママ君。落ち着いてよぉ。」

「あはは…そうだね。」

入学してから、早数ヶ月。

シママとルリリの友達ももう出来た頃、

シママが楽しみにしていた行事、遠足。

ただ、ケロン星の遠足は地球のソレとは全く違う。

遠距離侵略足術強化訓練。

それがケロン星の遠足である。

「それにしても、なんでシママは楽しみにしてるんだ?」

「いや、初めての遠足だし、何となくね。」

「第一学年はまず、体力をつけるために山に登るんだって!!」

「へぇ〜。そうなんだぁ〜。」

「はぁぁ〜〜〜い!ちゅうもぉぉ〜〜くぅ!」

「あ、MNK先生。」

シママ達の担任はどこかぼけているので、いつの間にか

まぬけ先生→MNK先生

といった感じになっている。

「じゃぁ、まず、コースを描いた紙を配りまぁ〜す」

「えぇぇ!こんなコースなんだぁ!」

「頑張ろうね!ルリリ!」

「うん!」

「コレって二人ペア(男女OK)らしいから、一緒に行こうよ!」

「うん!いいよぉ!」

「僕、ルリリと行くと思うと楽しみになってきた!」

「うん!わたしもだよぉ!」

「〜ということで、遠足開始ぃ〜。」

「「え!?」」

聞きそびれた…。

二人はそう思った。



「ねぇぇぇ!!シママ君まってぇ!」

「え?あ、大丈夫?」

「シママ…君…足…速い…。」

「え!?あ、ごめん。」

あの後友達の説明で諸々のルールは分かったが、

それでもこの体力差をどうすればよいのだろうか。

「やっぱり…私…運動不足…?」

「いやぁ、そんな事ないと思うけど…?」

この場合、シママの体力が遥かにルリリを超えてしまっただけだ。

「じゃぁ、僕もゆっくり歩くよ。」

「うん、ありがとぉ。」

「じゃあ、息も整ったみたいだし、行こうか。」

「うん!」

「それにしても、なんか…。」

「ん?なに?」

「え…いや…何でも…。」

シママが見上げていた空は雨雲が広がり、今にも降りそうだ。

「じゃぁ、いこぉ〜!」

シママは納得がいかないような複雑の顔したが、

「そうだね…。」

という一言だけを言った。



中間地点までもう少しというところで、

「ねぇ、もしかして、あたしたち最後?」

「うーん…みたい。」

どうやら置いて行かれてしまったようだ。

「じゃあ、がんばって速く行こう!」

と、そのとき、


ポタ


「「え。」」




ボタボタ

ザァーーーーーッ




「やっぱり降ったなぁ。」

「なんでシママ君冷静なの!?」

「いや、予想通りだったし。僕ら雨大丈夫じゃん。」

「いやいや。ケロン人でも風引くよ!」

「え。いいじゃん。」

「え!?明日の給食忘れたの!?」

「あ!そっか。!」

明日は確か、揚げパン。

この一ヶ月の中で一番おいしかった給食だ。

アレはおいしいからもう一度食べたい!

…しかたない。風邪を引かないためにも…!

「と、とにかく、なにか雨しのげるトコか物を…。」

「あ、傘忘れた。」

「え。私も。」

お互いにこれからどうすればという顔で見合った。



「ふぅ、助かった。」

「まったくだよぉ…。」

あれからすぐ近くに洞窟を見つけた。

「しっかし、まいったなぁ…。」

「これからどうしようか…。」

「皆、傘持ってるから、行っちゃってるだろうなぁ。」

「そうだねぇ…。」

「よし。もうすぐ中間地点だから、

僕、走って傘もらってくる。」

「え!?」

シママを振り返ったらもういなかった。



「しっかし、すごい雨…。」

ついには前が見えなくなった。



あれからどれくらいたったのか、

ルリリには分からなかったが、

結構早くシママは帰ってきた。

「ゴメン。遅くなった。それと…。」

借りてきた傘を掲げた。

「一本しか残ってなかった。」



「お疲れー…。」

シママとルリリの友達はもうゴールに着いていた。

ゴールしたときも、尚雨が降っていた。

ゴールするまで、中間地点から日本で言う5㎞。

ずっとシママとルリリは傘一本でココまで来たのである。

「それにしても大変だったねぇ〜。シママ君。」

「…。」

「どうしたの?」

「なんか寒気する。」



結局、シママは風邪を引いて休んでしまったが、

ルリリが給食のじゃんけんで勝ってくれたので、

揚げパンにシママはたどり着けたのだった。





第四章 終わり





次回は…お楽しみに☆





           第五章に続く